高齢者は何らかの病気をかかえている場合がほとんどです。
老化により、精神的にも、身体的にも機能がおとろえてしまうことで、病気にかかることが多くなります。
また、複数の病気をかかえている人も多くみられます
高齢者の方に多い病気の原因や特徴、高齢者に多い症状や訴えを理解しておくことで、具体的にどのような対応が求められるか考えることができます。
高齢者に多い症状
●高齢者にみられる病気の症状の特徴
*もとの状態に戻りにくい
*個人差が大きい
*治りにくい、慢性化しやすい
*一般的な病気の症状が出にくい
*薬の副作用を起こしやすい
*環境の変化に適応しにくい
*精神症状を起こしやすい
*合併症を起こしやすい
一般的な病気の症状だけでなく、「いつもと違う」かどうかを観察することで、早期に発見することが大切だそうです
●主な症状
痛み: 頭痛・胸痛・腰痛・腹痛など
しびれ: 手や足のしびれ
むくみ: 特に足が腫れたようになるなど
不眠: 夜、なかなか寝つけない。昼寝ができないなど
便秘、下痢: 何日も便が出ない、逆に便が1日に何回も出るなど
尿失禁: ちょっとからだを動かしただけで尿が漏れてしまうなど
高齢者の方は、一般的な病気の症状が出にくいという特徴があります。症状がなくても、重大な病気が隠れていることもあります
高齢者の方の病気に気付くためには、一般的な病気の症状だけでなく、「いつもと違う」かどうかを観察することが重要
高齢者の方にみられる病気の症状の特徴を知ることで、病気に気付くことができ、早めに介護支援専門員などへ連絡すことができる
高齢者に多い病気
◆誤嚥性肺炎・・誤嚥によって細菌が器官に入り、肺に炎症を起こす病気
症状として、咳や痰、むせがみられます。また、熱が出たり、喉がゴロゴロしたりすることもあります。
◆高血圧・・最高血圧(140mmHg以上)、最低血圧(90mmHg以上)と定められています
原因がはっきりしない場合もあり、高血圧は自覚症状がない場合もあります。
血圧の高い状態が長く続くと、頭痛やめまい、のぼせ、息切れといった症状が出ます。
◆心筋梗塞・・心臓に栄養を送っている血管がつまる病気
心筋梗塞は突然、激しい胸の痛みに襲われます。痛みは30分ほど続きます。冷や汗が出たり、顔色が悪くなったりします。
高齢者では症状が出ないこともありますので、注意が必要です
◆脳卒中・・脳や脳をおおっている血管が出血したり、つまったりする病気。
原因は高血圧や不整脈です。からだの片側がしびれる、ろれつがまわらない、よだれが出る、物を落とす、息苦しさや動悸を感じるなどの症状があります。
◆パーキンソン病・・原因不明のからだの動きが悪くなる病気です。
主な症状
①静かにしているときに手やからだが小きざみにふるえること
②からだを動かそうとしたときにスムーズに動けないこと
③動作が遅くなること
④姿勢をうまく保てないこと
特に転ばないように注意が必要です。
◆糖尿病・・血液中の糖分が多くなる病気です
最初はあまり症状がありません。病気が進んだ時、口が渇く、たくさん水を飲みたくなる、尿がたくさん出る、だるいなどの症状がでます。
血液中の糖分が多い状態が続くと、腎臓や神経、目に障害がでます。
糖尿病を治療している人は、血液中の糖分が少なくなることがあります。(低血糖)
低血糖は死にいたることがありますので、注意が必要です(甘い物を近くに置く習慣を)
◆関節症・・関節に起こる痛み・炎症のことです
骨と骨のあいだのクッションの役割をする軟骨が徐々にすり減り、痛みや炎症が起こり、日常生活が困難になります。
肥満の中年以降の女性に多くみられます。
関節に負担をかけない工夫が大切です。
◆骨折・・高齢者に多い骨折部位
①大腿骨頸部(太腿の骨の頭の部分)
②橈骨遠位端(前腕の太いほうの骨の手首の部分)
③上腕骨近位端(上腕の骨の肩の付け根の部分)
④脊椎(背骨)の腰のあたり
もともと骨は弱くなっているので、カルシウムやビタミンK、ビタミンDをとることや、運動を心がけることも重要ですね
ビタミンK→納豆や青菜
ビタミンD→魚など
◆白内障・・目がかすんでくる病気です
見えているものが白くぼやけて見えたり、かすんで見えたりします。
視力も低下します。はっきり見えないので、転倒などの危険性があるため注意が必要です。
◆難聴・・聴力が低下した状態
原因の一つに加齢があります。老人性難聴では、高い音域が聞こえにくくなります。
気がつかないことが多いので、後ろから声をかけることは避けましょう。
◆前立腺肥大症・・(男性にしかない臓器です)
前立腺が大きくなるため、膀胱の出口付近の尿道が圧迫され、尿が出にくくなる病気です。
前立腺肥大症のある人は、加齢にともなって増加します。
症状⇒尿がでにくい、尿が頻回になる、残尿感があるなど。
◆感染症・・高齢者は体力が落ちているので、いろいろな病気を起こす細菌などに感染し病気にかかりやすくなります。
インフルエンザや肺炎、風邪など現在ではコロナウイルスなど
感染症は、熱が出たり、息が苦しそうになったりしますが、高齢者ではこれらの症状がでない場合もあります。「何となく元気がない」「いつもより食欲がなさそう」などが病気のサインとなります。
◆排尿障害・・尿失禁や頻尿があります
・尿失禁は女性に多い
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腹圧性尿失禁・切迫性尿失禁・溢流性尿失禁・機能性尿失禁など
・頻尿はトイレに行く回数が多い状態です。
◆排便障害・・一番多いのは便秘です。(様々な原因で起こります)
腸の病気や排便のタイミングのズレ、薬による影響、運動不足など。
◆褥瘡・・床ずれともいわれます。
長い時間からだの同じ場所に圧力がかかり、血のめぐりが悪くなって、皮膚の細胞が死んでしまう状態です。
最初は皮ふが赤くなり、薄皮がむけてきます。その状態をそのままにしておくと、皮膚がえぐれ、ひどい場合は骨が見えるほどになります。
発生しやすい部位
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仙骨部(おしりの骨の出た部分)
肩甲骨部(背中の三角の骨のあたり)
後頭部(頭の後ろ)など
2時間くらいしたらからだの向きを変えたり(体位変換)、皮膚を清潔にしたり、栄養をきちんととることで褥瘡を予防することが大切だそうです。
ご家族の方や、近くにお住まいの方の病気に気付けるように、高齢者に多い病気とその症状を理解しましょう。
高齢者の方の病気は、症状がはっきり出ないこともあるので「いつもと違う」なぁなど、観察することも大切ですね。
適切な支援ができるように、病気の症状にあわせて病気ごとの支援の際の留意点も理解することが大切だと思われます。
認知症介助士 かすみ草みち
GemMindのホームページ:gemmind.jp