日本では、65歳以上の高齢者のうち約462万人が認知症だと言われています。認知症介助士には、認知症の方を受け入れ、家族や地域とのつなぎ役になることが求められます。
理念
●高齢者を支えていくにあたり、認知症である人々が安心して街中に出てきていただける環境、すなわち認知症の人を受け入れ、寄り添える環境をつくること。
●高齢社会を支えていくにあたり、すべての人に「おもてなしの心と介助技術」を学ぶ環境をつくること。
心掛け
認知症を発症すると極端に記憶力が低下するなど、本人も家族も戸惑いを覚え不安にかられます。認知症は誰もが発症する可能性がある脳の病気です。認知症介助士は、認知症および軽度認知障害についての正しい理解を持つことが大切です。
・日常生活では、おもてなしの心を持って寄り添う。
・正しい知識を持って、ありのままの認知症の方を受け入れる。
「ありのままを受け入れる」とは、失敗や挫折などマイナス面に焦点を合わせることや他人と比較することはやめ、その方の現在の状態をそのまま「良し」として受け入れること。
・家族や地域と認知症の方のつなぎ役として、社会に貢献する。
認知症は本人ばかりでなく、家族やその周辺の方々も巻き込んで、不安感を増幅させます。認知症介助士には、認知症や軽度認知障害の方が、社会や家庭の中で孤立せず、家族や社会の一員として生活できるよう地域のつなぎ役としての役割が求められる。
重視するQOL
QOLとは
クオリティ・オブ・ライフ
「生活の質」「生命の質」「生き方の質」
認知症や軽度認知障害の方だけでなく、高齢者や障害のある方がより実りのある満足した人生を歩むために重視されること。
※超高齢社会の日本では、毎年平均寿命は着実に伸びますが、健康寿命は平均寿命には及びません。近年、平均寿命と健康寿命の差は男女ともに縮小していますが、それでもその差は約10歳と言われています。加齢や病気、障害などによって自立した生活ができない不健康な期間が約10年続くということですね。
多くの高齢者は、この間に生きる勇気を失ったり、社会参加の意思が無くなったりして、生活の質や生命の質、生き方の質を低下させるケースも見受けられます。
このような状況からの脱却を目指し、「人間としての生き方や目標を取り戻すことを意味する言葉」としてQOLは重視されています。
付き合い方・接し方のポイント
★相手の個性や生き方を尊重する
★相手の立場に立って応対する
★相手が自分で選別して行動できるように配慮する
認知症の方に対しては、怒ったり命じたりして本人の不安を増幅させないように見守りましょう。出来ないことより出来ることに焦点を当てるように心掛けることも大切ですね。
介助士としての目的
認知症や軽度認知障害の方が、生活に潤いを持ち、喜びを感じながら日々を送れるようにすること。
認知症の方ばかりでなく、高齢者や障害者の方の自立や社会参加を促すことににもつながります。
認知症介助士 かすみ草みち